藤子・F・不二雄の意外な一面が楽しめる良質な短編集!「少年SF短編 3」を読みました!

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お、なんか面白そうなマンガあるな。え、藤子・F・不二雄?
ドラえもんの?

先日から2週間おきに家族で近くの図書館に通う日々。
僕はあまり本を借りないのですが、子供たちに付き添って児童図書コーナーに行くと興味深いマンガが置いてありました。

それは「少年SF短編 3」。
思わず借りちゃったので感想をお届けします。

藤子・F・不二雄の意外な一面が楽しめる良質な短編集

「少年SF短編 3」は藤子・F・不二雄の短編集です。
1968年〜1985年まで様々な雑誌などに掲載された読み切りをまとめたもので、テーマは少年SF。

藤子・F・不二雄とえいば代表作は誰もが知っているドラえもんやパーマン、オバケのQ太郎などが有名で、今でも愛されている作品ばかりですよね。

その作品はみんな夢があり、子供から大人まで楽しめる、いわゆる正統派な少年マンガ。
でも、この短編集はちょっとテイストが違うのです。
いい意味でブラックな要素も入れながらも意外な展開で読者を楽しませてくれる。
藤子・F・不二雄の意外な一面が楽しめる良質な短編集になっているのです。

考えさせられる内容に唸るSFもの

「少年SF短編 3」はそのタイトル通りSFものです。
多くは宇宙人やUFOが出てきますが、中にはゆうれいなどが出てくるエピソードも。
単純に楽しめるものもありますが、考えさせられるような内容のエピソードも少なくありません

※ここからはネタバレを含みますのでご注意を!

いくつかエピソードをご紹介します。

絶滅の島

一番印象に残ったのは「絶滅の島」というエピソード。

とある島に暮らす若いカップルが主人公。
世界は宇宙人により人類がほぼ絶滅させられており、主人公たちの住む島にも宇宙人の手が及びます。
主人公たちは難を逃れますが、集落を襲った宇宙人たちは人類を虐殺・・・
主人公たちも絶体絶命の危機を迎えますが、そこに別の宇宙人がやってきて助けられるという展開です。

秀逸なのは宇宙人の話す言葉は何を言っているかわからないように描写されていて、最後のページでその翻訳が書かれています
なんと宇宙人たちが人類を殺戮する理由は地球人の丸焼きが円形脱毛症に効くからというのが翻訳で分かります。
助けてくれたのは巡視官で、地球人の乱獲は禁止されているので取り締まっていたから。

これは人類への強烈な皮肉のエピソードなのでした。
人類も今、同じように動物を乱獲し絶滅寸前まで追い込み、それを保護してたりしますもんね・・・
うーむ、考えさせられる。

征地球論

もう一つは「征地球論」というエピソード。
宇宙人が地球を征服するかどうかを議論するのですが、地球人の行動が理解できずに悩み続けるのです。
例えば資源が枯渇するのに浪費しつづけるのか?
平等を目指しつつ不平等ばかりの社会を作るのか?
そのくせ、涙を流すと憎しみが消えるのか?
議論続けても結論が出ない宇宙人たちはまだ様子をみることにする。
そんなエピソードです。

これも人類への皮肉に満ちたお話ですよね。
宇宙人が混乱しているのは面白いのですが、考えてみれば自分は矛盾に満ちた地球人であることを考えてしまいます

大人にも子供にもオススメ

たまたま図書館の児童書コーナーでみつけましたが、かなり面白かったです。
子供は単純に物語として楽しめるし、大人は考えさせられる。
そんな一冊でした。

ドラえもんなども面白いですが、こういう風刺が効いたちょっぴりブラックな作品も描けるなんて、やっぱり藤子・F・不二雄は天才ですね。

また、この内容の作品が40〜50年前に描かれていることにも考えさせられます。
この作品に大いにうなずけるということは、40〜50年前から何も変わってないのと同じですもんね。

たまたま3巻から読んだのですが、これは残りの1、2巻も読まなければ。

まとめ

図書館にこんなマンガがあるとは知りませんでした。
藤子・F・不二雄という漫画家の作品であることが大きく影響しているのでしょうが、こんなのが図書館にあるのなら、大いに活用したいところです。
というか、この作品なら買ってもいいかな(笑)

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